結核

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かつての不治の病

かつては「労咳」と呼ばれ、不治の病であると考えられていた病気があります。
この病気は感染病であるため、感染を避けるための隔離療養施設であるサナトリウムというものが作られ、当時はこのサナトリウムを舞台にした作品なども多く登場しました。
ここで紹介するのは、医学の発展によって不治の病ではなくなった病気「結核」についてです。

結核は多くの場合、肺で発症する病気です。
結核菌という菌が肺の内部で増殖して症状を引き起こします。
レアケースではありますが、肺ではなく腎臓やリンパ管などに発症することもあります。
こちらの場合は「肺外結核」という名称で呼ばれます。

結核による症状は、多くが風邪に似通っています。
咳や痰が出たり、発熱を伴ったり、食欲が低下したり、というようなものです。
しかし、風邪と違い自然に治癒することは少なく、症状が悪化していきます。
中期症状では息切れを起こしたり、痰の中に血が混じったりし始めます。

これが更に重度になると、今では結核のイメージの1つとなっている「喀血」が起こり、呼吸困難などの重症症状を引き起こします。
この段階になると、死に至る可能性が十分あります。
現在のような治療方法が確立されていなかった時代には、日本で一番の死因がこの結核でした。

それでは、風邪なのか、結核なのかというのはどのように判断するのが良いでしょうか。
やはり「長引く」というのが、大きなポイントの1つとなります。
風邪の場合には1週間、2週間程度で引く場合がほとんどですが、結核の場合には2週間以上症状が長引くことになります。
そういった場合には、医者で検診を受けて結核でないかどうかをチェックしてもらうようにしましょう。

結核の治療や検診は「結核予防会」に加入している病院で受けることが出来ます。
近くに加入病院がない場合には、保健所に連絡すると対応できる病院を教えてもらうことができます。

結核の治療

それでは、結核の治療は現在ではどのように行なわれているのでしょうか。
結核だと診断された場合、まずは入院するのか、自宅療養するのかを決定します。
この時の基準となるのが「排菌の有無」です。

結核が発病していても、必ずしもその菌をばら撒くようになっているわけではありません。
排菌が発生している場合には周囲への感染を防ぐ目的から、入院を行うことになります。
この場合、排菌が停止するまでの間入院となり、平均的には2ヶ月程度必要となります。

結核の治療は4種類の薬を使って行なわれます。
通院の場合には自宅で飲むことになりますが、医師の指導がない限り勝手に停止してはいけません。
おおよそ6ヶ月前後で治癒するのが一般的ですが、病状によって個人差があります。