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横溝正史(小説家)

ミステリー

ミステリーの大家

次に紹介するのも「医療資格を持っていた」有名人となります。
今でもミステリー作家として高い人気を誇り、作者の名前を取ったミステリー大賞が作られるなど、実力の高さも知られる人物である「横溝正史」です。
本名は同じ字を書いて「よこみぞまさし」と読むのですが、作家仲間に「ヨコセイ」と呼ばれていたことからペンネームでは「よこみぞせいし」という読みとなりました。

横溝作品で最も有名なのは、やはり「金田一耕助」シリーズでしょう。
この作品が横溝正史がミステリーの大家であるとして知られるようになった理由だと言えます。
それでは、金田一耕助シリーズにどのような作品があったのかについて簡単に見てみましょう。

まずはそもそも金田一耕助という人物がどのようなキャラクターであったのかについてです。
金田一耕助はボサボサの髪に平凡な顔立ち、体つきも貧相で身長も高くはない、という「普通」の人物でした。
本人自身も自分の体格については劣等感を抱いているという設定で、アクションシーンなどはあまりないキャラクターです。
昨今のように探偵1人で何でも出来てしまうタイプではなかったわけです。

服装もシワだらけの羽織と袴も着ているなど、綺麗とはいえない人物とされていました。
しかし、どうにもそういった所が母性本能をくすぐるらしく、女性には人気が高い、というような人物として描かれています。
その反面で初対面の男性キャラクターにはほぼ間違いなく侮られるという主人公としてはかなり珍しい特徴を持っています。

ちなみに金田一耕助は推理の際、考え事をする時に頭をかきむしってフケを飛ばすというなんとも迷惑な癖を持っています。
この癖は作者である横溝正史自身の癖を誇張したものであるとしており、自分の投影となっている部分もあったようです。

横溝正史の人物像

それでは、次に横溝正史自身の人物像についても見てみましょう。
横溝正史について特徴的なエピソードとして、閉所恐怖症であったということが知られています。
それ故電車も苦手であり、電車に乗る時にはお酒の入った水筒を必ず持ち込んで少しずつ飲みながら乗り切ったと言われています。
妻と一緒に乗る際には妻にずっと手を握ってもらっていなければ乗ることが出来ないというほどでした。

そんな恐怖症対策として飲んでいるお酒自体は元々好きな質であり、晩年においても多くお酒を飲むことから周囲の人を困惑させることもありました。
さらに、繊細な人物であるとしても知られており、シリーズが人気を博した際、どんなものであっても掲載されるということがあり「本当にこんなものを乱造していていいのか」と悩んだ事もあったといいます。
その後、作品の良し悪しは作家ではなく読者が決めるものだ、と割りきったと語っています。