不可逆的に進行する重大な生活習慣病
中年期以降の健康維持に最も重要なのが生活習慣病の予防です。
生活習慣病とは食習慣や運動習慣、休養の方法、嗜好といったものが総合して悪化される病気一般のことで、糖尿病、高血圧、がん、脳卒中、心臓病といったものが含まれます。
その中にあって最も代表的な病気とされているのが糖尿病です。
糖尿病患者の数は日本国内で約890万人と推計されており、その予備軍も含めて約2,210万人にもおよぶと言われます。
これは日本の人口の1~2%にもなる数字であり、さらに近年増加傾向があることから早い段階から病気の特徴を知り正しく対策をしていくということが課題です。
糖尿病を含む生活習慣病を防ぐ方法として掲げられているのが「一無・二少・三多」というものでそれぞれ「禁煙・少食/少酒・多動/多休/多接」ということを示しています。
毎年2月に行われる生活習慣病の予防活動を行う「生活習慣病予防月間」においてはこのキャッチフレーズをもとに個別の対策が推奨されます。
糖尿病が生活習慣病予防の中でもとりわけ難しいのは、不可逆的に症状が進んでしまうからです。
つまり一旦糖尿病の状態になるとそこから完治をすることはできず、その後の人生をずっと対処療法で過ごしていかなければならないということです。
糖尿病の中には先天的な「一次性糖尿病」と、後天的な「二次性糖尿病」とに区別をすることができます。
一次性糖尿病は幼少期から発症することが多く原因がはっきりわからない遺伝的なものですが、二次性糖尿病は原因が比較的わかりやすく予防がしやすいという特徴があります。
糖尿病の進行によって起こることとは
糖尿病は体内のインスリンというホルモンが低下することにより、血糖値が慢性的に高くなるという症状が起こります。
そのため重度に進行した糖尿病患者は、外部からインスリンを自己注射しなくてはならなくなり、日常生活にも影響が出てきます。
糖尿病の初期症状としては「喉が渇く」「頻尿」「多尿」といったことがあり、さらに尿中にタンパク質が多く含まれるようになることから泡立ったように見えます。
また糖尿病になると食事で摂取した糖分が体内に吸収されにくくなるので、食べても満腹感を感じることができず食事をしてもすぐ空腹感を感じます。
糖尿病で怖いのは症状を放置することにより合併症が発症するということです。
糖尿病の合併症としては「神経障害」「網膜症」「壊疽」「白内障」「感染症」などがあげられ、いずれも非常に危険な病気です。
突然に意識がなくなってしまうということもあり、自動車の運転や工事現場など危険な場所での作業においては周囲の人を危険にさらしてしまうこともあります。