うつ病

現代人ならば決して他人事ではない「うつ病」

「うつ病」は、近年の精神疾患のキーワードともなっている有名な病名です。
かつてうつ病やうつ症状を経験した本人やその家族が経験をもとに作成した著作物も多く、世間的には病名は広く知られているのではないかと思います。

しかしそれだけ「うつ病」という病気は誰にとっても他人事で済まされるものではなく、いつ何時に自分の身に降り掛かってくるかもしれません。

うつ病の診断は内科や外科の診断とは異なり、あくまでも自己申告によって判断がなされます。
逆に言えば特定の条件に当てはまる人は精神科や心療内科を受診しなくともある程度自分の症状を判断することができるということになります。

一般的な項目ですが、うつ病が疑われる症状として「朝起きた時の気分が憂鬱」「寝付きが悪い。眠りが浅い」「何をするにも気力がわかない」「周囲のことに関心がわかない」「食欲・性欲が減退した」「常に不安を感じイライラする」「集中力がなくなった」ということがあります。

しかしながらうつ症状の初期段階においては、その行動を「怠け癖がついた」「加齢で体力がなくなった」というように誤った判断を周囲にされることもあり、実際に診断を受けるまで数年という長い年月が必要になることもあります。

しかしながらこの「うつ病」はどのような社会的立場にいる人にも起こり得るものであり、周囲がそのことを「恥ずかしい」「外部に知られたくない」として隠そうとするあまり余計に症状を進行させてしまったりします。

うつ病になりやすい人とは

世間一般的にはうつ病やうつ症状になる人は、仕事や勉強に不真面目で課題に取り組むことができない人のように思われています。

しかし実際には全く逆で真面目に目の前の課題に全力で取り組むタイプの人こそうつ病の症状を発症しやすいということがわかっています。

うつ病になりやすいタイプとしては「真面目」「仕事の能力が高い」「責任感・正義感が強い」「融通がきかない」といったことが挙げられます。

こうした人は自分自身の理想とする世界を実現しようという強い願望を持っていることから、そうではない事例を目にしたときに強いストレスを感じます。
そのストレスが精神的なプレッシャーとなり、うつ症状につながっていることもよくあります。

仕事の失敗や異動、環境の変化によって自分の想像や想定を超える事態が起こったときにには、自分の世界観を強固に持っている人ほど精神的なバランスを崩しがちになります。

うつ病になりたくてなる人はいませんので患者さんには全く罪はないのですが、あらかじめなる確率が高い人に対しては周囲が気遣ってあげるというケアも必要であるのかもしれません。

双極性障害

現代に増える深刻な症状

「こころの時代」と言われる現在では、「うつ」症状が大きな問題として扱われています。
ですが実際に精神的な病で悩んでいる人の多くは完全な「うつ」ではなく、むしろ「双極性障害」であるというケースがよくあります。

ごく簡単に説明をすると、「うつ」というのは心や体に気力が起こらず、落ち込んだ状態が続くことをいいます。
一方で「双極性障害」の場合には気分は一定ではなく上がったり下がったりといったことが繰り返し起こってきます。

そのため最初はひどい落ち込み症状があったことで心療内科を受診したものの、数日してすっかり気分が晴れて明るくなったのでそこで投薬や通院をやめてしまうということがよくあります。

しかしそうした見かけの改善はうつ症状が改善したのではなく、双極性障害として反動で平常以上に気分がよくなっていることが多いのです。

山高ければ谷深しという言葉の通り、一見改善されたと見られる気分が大きなものであればあるほどその周期が途切れたときの落ち込みも大きくなったりします。

こうした気分の波は真面目な人にこそ大きく起こる傾向があるようで、最初はひどい落ち込みから会社を休職した人が、気分が改善したと思って復職したところすぐ前回以上の落ち込みを感じるようになったというケースが見られます。

双極性障害Ⅰ型とⅡ型の違い

双極性障害とされる症状の中にもⅠ型とⅡ型という種類があります。
そもそもの「双極性障害」とは、別名「躁うつ病」と言われるように気分の上下があり精神状態が安定しない人のことを指すものなのですが、この気分の上下の波にも幾つかのパターンがあることがわかっています。

簡単にまとめると、双極性障害のⅠ型は「躁状態とうつ状態を繰り返す」ものであり、Ⅱ型は「軽躁状態とうつ状態を繰り返す」というところに特徴があります。

身近に精神疾患として診断された人がいない人にとっては想像がしがたいかもしれませんが、この「躁状態」と「軽躁状態」は大きく異なります。

医学的な分類としては「躁状態」とは、別人のように態度が大胆になったり、普段は口にしないような明らかにおかしい強気な発言をするといったような特徴が見られることです。

一方の「軽躁状態」とは、一見して見分けがつかないような、ちょっと気分がいい、ちょっと強気になっているといった範囲にとどまります。

臨床例においてはⅠ型よりもⅡ型の方が圧倒的に多く、それだけに身近にいる家族やパートナーにとっても発見しづらい症状であると言えるでしょう。

Ⅰ型とⅡ型は治療方法や薬剤も異なることから、早期に発見するということが重要になります。
それまで無自覚だった人も診断を受けることで楽になるということもありますので、心当たりのある人は早めに受診することを勧めます。

くも膜下出血

脳を覆っている膜に出血が起こることで発症

くも膜下出血とは、別名「破裂脳動脈瘤(はれつのうどうみゃくりゅう)」とも言われる脳を覆っている膜の一部で出血が起こるという症状です。

私達の体に備わっている脳には「軟膜」「くも膜」「硬膜」という三層の膜ができており、これが外部からの衝撃や内部で起こる病気からデリケートな脳を守るための役割をしています。

この三層の膜のうち、くも膜と軟膜の間には小さな空洞部分がありこれを「くも膜下腔」といいます。
「くも膜下出血」とはまさにこの「くも膜下腔」の内部で出血が起こる病態のことをさしており、軽度のものであっても重大な症状となることが少なくありません。

なぜくも膜下腔から出血が起こるかというと、その大部分は脳動脈瘤の破裂が原因です。
まれに脳動静脈奇形によって出血をするケースや、転倒や事故による大きな衝撃で頭部に外傷が起きそれが原因となるということもあります。

症例として最も多いのはやはり脳動脈瘤の破裂によるもので、脳内の血管の一部に瘤(こぶ)ができてしまっていると、何かちょっとしたきっかけで破裂をしてしまうことになります。

血管の一部に瘤ができる原因としては、血管異常や高血圧、その他血流に関する慢性疾患が多く、主に40代以降の中年世代からのリスクが高まります。

膨らんだ瘤はいわば空気を入れて膨らませた風船のようなもので、許容できる以上の血液が入り込んだり、外部から刺激を受けたりした時一気に破裂をしてしまいます。

逆に若年層に多いのが脳動静脈奇形で、これは生まれつき脳の血管の発生異常により血管の形が血液を通しにくくなっていることで起こる症状です。

症例としては少ないですが、発症をする人のほとんどが30歳以下であるというところが大きな特徴になっています。

前兆症状を捉えることが最大の予防法

生まれつき血管の形状に問題があるという人においては完全に予防するということは難しいですが、一般的なくも膜下出血ではあらかじめ見られる予兆症状から早めの対策をとっていくことが可能です。

くも膜下出血の大半はギリギリまで膨らんだ血管が突然に弾けることによって発症をするため、事前に膨らみを察知して減らすことができれば一気にリスクは低減されます。

くも膜下出血は何の前触れもなく突然現れる病気と言われることもありますが、事前に何らかの前兆が起こっていることは少なくありません。

具体的には「血圧の乱れ」「違和感のある頭痛・めまい」「吐き気・嘔吐」といったものが初期症状となります。
くも膜下出血の危険因子として喫煙や高血圧、高コレステロールといったものが挙げられますので、健康診断でそれらの指摘を受けた人は自覚症状に十分注意してください。

結核

かつての不治の病

かつては「労咳」と呼ばれ、不治の病であると考えられていた病気があります。
この病気は感染病であるため、感染を避けるための隔離療養施設であるサナトリウムというものが作られ、当時はこのサナトリウムを舞台にした作品なども多く登場しました。
ここで紹介するのは、医学の発展によって不治の病ではなくなった病気「結核」についてです。

結核は多くの場合、肺で発症する病気です。
結核菌という菌が肺の内部で増殖して症状を引き起こします。
レアケースではありますが、肺ではなく腎臓やリンパ管などに発症することもあります。
こちらの場合は「肺外結核」という名称で呼ばれます。

結核による症状は、多くが風邪に似通っています。
咳や痰が出たり、発熱を伴ったり、食欲が低下したり、というようなものです。
しかし、風邪と違い自然に治癒することは少なく、症状が悪化していきます。
中期症状では息切れを起こしたり、痰の中に血が混じったりし始めます。

これが更に重度になると、今では結核のイメージの1つとなっている「喀血」が起こり、呼吸困難などの重症症状を引き起こします。
この段階になると、死に至る可能性が十分あります。
現在のような治療方法が確立されていなかった時代には、日本で一番の死因がこの結核でした。

それでは、風邪なのか、結核なのかというのはどのように判断するのが良いでしょうか。
やはり「長引く」というのが、大きなポイントの1つとなります。
風邪の場合には1週間、2週間程度で引く場合がほとんどですが、結核の場合には2週間以上症状が長引くことになります。
そういった場合には、医者で検診を受けて結核でないかどうかをチェックしてもらうようにしましょう。

結核の治療や検診は「結核予防会」に加入している病院で受けることが出来ます。
近くに加入病院がない場合には、保健所に連絡すると対応できる病院を教えてもらうことができます。

結核の治療

それでは、結核の治療は現在ではどのように行なわれているのでしょうか。
結核だと診断された場合、まずは入院するのか、自宅療養するのかを決定します。
この時の基準となるのが「排菌の有無」です。

結核が発病していても、必ずしもその菌をばら撒くようになっているわけではありません。
排菌が発生している場合には周囲への感染を防ぐ目的から、入院を行うことになります。
この場合、排菌が停止するまでの間入院となり、平均的には2ヶ月程度必要となります。

結核の治療は4種類の薬を使って行なわれます。
通院の場合には自宅で飲むことになりますが、医師の指導がない限り勝手に停止してはいけません。
おおよそ6ヶ月前後で治癒するのが一般的ですが、病状によって個人差があります。