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日本の医師の労働環境について

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医師の労働環境について

日本では医師は患者のために自分の体を犠牲にして奉仕することが求められています。
聖職者という扱いを受けていて、昼夜を問わず患者がいれば診療を拒むことは許されないと考えられています。
医師は病院や怪我人を治すために、一時も休まずに働き続けることを当然のように要求しているのです。

日本では医師の労働環境がとても悪化していて、研修医が過労死した事件もあったほどです。
医師はきちんと労働基準法や最低賃金法によって保護される対象なのです。
そのような認識が生まれたのはつい最近のことであり、これまでは医師は権威者であり、一般の職業とは違う存在であると思われていました。

日本の医師の過酷な労働環境

平成15年度に厚生労働省が病院への立ち入り調査をした結果、なんと7割の病院に問題があるとして指導を受けていたことが分かりました。
つまり、日本の半数以上の病院は医師が働く環境が不適切であるという事実が明るみになったのです。

医師のほとんどは日常的に睡眠不足に陥っています。
休日出勤や時間外労働は当たり前であり、一般のサラリーマンとは比べ物にならないほど過酷な状況となっています。

睡眠時間を削って患者の治療をすることで、ミスが誘発される危険性が高まります。
また、医療技術だけではなく、感情的にも不安定な状態となってしまうでしょう。
スタッフとのコミュニケーションを上手く取れなくて、人間関係に問題を起こしてしまうケースもあります。

それではどうして睡眠時間を削ってまで医師は働き続けなければいけないのでしょうか。
その根本的な原因は日本では医師不足が顕在化しているからです。
医師が不足して、それを補うために過労死寸前まで働き続ける医師が増えて、その結果医療過誤が起きてしまうのです。

医療事故がメディアで取り上げられることが多くなっています。
中には医師の不注意によるものもありますが、その原因がそもそも睡眠不足や疲労困憊によって引き起こされているケースがたくさんあります。

このまま医師の労働環境を悪化させ続けてしまうと、日本の医療現場が崩壊してしまうことになります。
また、医師は年収が高いというイメージがありますが、実際には大企業のサラリーマンよりも安い賃金で働いている勤務医はたくさんいます。

このように、さまざまな点で労働環境が悪化しているため、状況を改善するための方策が求められています。
医師の数を増やすために医学部の定員を増やしたり、女性医師への待遇を改善するなどが行われています。
これから医師になる方は、労働環境の悪さという現実をきちんと受け止めておきましょう。